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ピアノなんでもコラムPiano Column

「ピアノはなぜ黒いのか」の著書でお馴染みのスーパーピアノアドバイザー斉藤信哉さんによる連載コラムです。

なぜピアノが黒いのか?

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幼稚園や学校、あるいは公民館などの公共施設で、木目のピアノを見たことはありますか?

きっと、ほとんどの方が黒いピアノしか目にしたことがないと思います。
つまり、「ピアノ=黒いもの」という先入観が、知らず知らずのうちに、私たちの脳裏に焼きついしまっているのです。

ではなぜピアノが黒いのかというと、その最大の理由は、黒いピアノの方が価格が安いからです。

実は、50年以上前は黒のピアノのほうが高かったのです。
なぜ黒のほうが高かったのかというと、もともと木目仕上げのピアノに黒く塗装を施していたからです。

つまり余計な手間がかかる分、高くなるわけです。
だから昔の黒塗りのピアノの塗装をこそげ取ると、美しい木目が出てきます。

拙著「ピアノはなぜ黒いのか」にも書きましたが、昭和35年(1960年)のヤマハのいちばん安価のピアノが
19万5千円。
その年の大卒男性初任給は13,080円ですから、ピアノはその15倍の価格。
現在の初任給は20万円ほどですから、これを15倍すると、およそ300万円。

今だったらどうでしょう。
「こんなに高いのなら、ピアノのレッスンやめようか…」なんて考えてしまうかも。
ところがところが、その当時、ピアノは飛ぶように売れていたのです。

今ではとても考えられないことですが、昭和35年に13,080円だった初任給は、7年後の昭和42年には、なんと26,150円へと倍増しています。

これがいわゆる高度経済成長で、翌年には給料もボーナスも必ず上がることが約束されていた時代だったのです。
高価な物を分割払いで買っても、まったく不安がないわけですから、テレビ、洗濯機、冷蔵庫、自動車なども、急速に普及していきました。

こうした時代を背景に、ピアノの需要もうなぎ登り。
ところが、たとえばヤマハの昭和35年当時の生産台数は、年間でも2万台ほど。
これではとても需要に応えることなどできません。

そのような訳で、ヤマハ、カワイの二大メーカーは、次々に大量生産方式へと転換していきました。

黒いピアノを見て育った子共たちの脳裏には、「ピアノ=黒いもの」という先入観が出来上がる

ピアノに使われる木材は、伐採したばかりの時には多量の水分を含んでいます。
これを乾燥させるのが、ピアノづくりでいちばん時間のかかる工程です。

数年から、長いものでは10年、いや20年という話しも聞いたことがあります。
これを数日で終わらせてしまうのが、ヤマハやカワイが取り入れた木材の人工乾燥です。
木材を乾燥庫に入れ、熱を加えたりして、強制的に水分を取り去ってしまうのです。

この人工乾燥の導入により、ヤマハやカワイがピアノの大量生産が実現できたといっても過言ではないでしょう。
そして、均質に大量のピアノをつくるのに黒い塗装はうってつけ。
なにしろ下地にどんな木を使おうとも、すべて隠れてしまいますから。

一方、木目仕上げでは、下地の上に薄い化粧板を貼り付けてつくりますが、ピアノ全体の木目を揃えなくてはなりませんし、最後の仕上げにしても、艶出し、艶消しなど色々ありますから、とても手間がかかります。
当然のことながら価格は高くなります。

というわけで、幼稚園や学校などでピアノを買い揃えるときに、わざわざ高いピアノを 買うはずはありませんから、必然的に黒仕上げのピアノということになります。

そして、黒いピアノを見て育った子共たちの脳裏には、「ピアノ=黒いもの」と いう先入観が出来上がるというわけです。

これでピアノの外装は黒が多い理由、お分かりいただけましたでしょうか?

あともう一つの大きな理由があることをお話ししましょう。