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ピアノなんでもコラムPiano Column

「ピアノはなぜ黒いのか」の著書でお馴染みのスーパーピアノアドバイザー斉藤信哉さんによる連載コラムです。

理想のピアノとは?

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今回もまた難しいテーマです。
理想とは人それぞれ異なるはずですから、あくまで“私の理想のピアノ”として話を進ていきたいと思います。

それでまず、こんなエピソードを紹介します。今から30年ほど前、あるお宅に調律にお伺いし、終わった後の奥様との会話です。

「娘はもうピアノレッスンはやめて会社勤めをしていますが、今も帰宅後にピアノに向かうことがあるんです。それで娘の弾くピアノを聞いていると、会社で嫌なことがあったんだなとか、楽しいことがあったんだなとかが分かるんです。」

「そうですか、娘さんはピアノに向かって話しかけているんでしょうね。」

「そうなんです。ピアノに訴えかけているように思えてならないんです。今になって、娘にピアノを習わせていた意味がやっと分かったような気がするんです。」

私が理想と考えているピアノの姿が、このエピソードにあります。つまり、弾き手の楽しみや悲しみ、苦しみなどの感情に的確に応えてくれる、言うなれば、何でも話せて、親身になって相談に乗ってくれる親友みたいなもの。それが私の理想のピアノです。

もしも、このピアノの音色が美しくなかったとしたらどうでしょう。悲しみを訴えればダミ声で応え、楽しさを訴えれば伸びのないこもった音で応える。これでは、感情を訴えることなんて出来ませんよね。自分と本当に相性の良いピアノに出会うと、ずっと弾いていたくなるものですし、苦しいはずの練習も楽しくなります。それが理想のピアノだと、私は思います。

では、理想のピアノに出会うにはどうしたら良いでしょう。それには、できる限りたくさんのピアノを弾いてみることです。国産のピアノだけにこだわらず、輸入ピアノにもたくさん触れてみてください。うまく弾けなくてもいいです。ずっと弾いていても楽しいと感じるピアノ、それがあなたの理想のピアノです。それはあたかも、心許せる本当の親友に出会ったような感覚です。一生付き合う伴侶かもしれません。一緒に過ごしても全く苦にならず、話がどんどん盛り上がる。そんなピアノを是非とも探してみてください。

それともう一つ、理想のピアノというわけではありませんが、鍵盤が小さくて軽く、音量も小さなピアノ。たとえばモーツァルトの時代のピアノは、現代のピアノとは比べものにならないくらい音量も小さく、鍵盤も浅く軽いものでした。だからハノンを弾いて指を強化する必要などありませんでした。

現代だからこそ、そんなピアノが必要だと思うのです。とにかく現代のピアノは鍵盤も重く、音量も大き過ぎると思います。そういうピアノはコンクールでの入賞を目指す方にとっては良いかも知れませんが、特に趣味で楽しむ方には不向きです。私の理想ともいえる、そんなコンパクトで鍵盤も軽く、音量も小さなピアノ・・・どこかのメーカーが造ってくれないかなぁ、と思っています。

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